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宮崎地裁・家裁所長に着任した 久留島群一(くるしま・ぐんいち)さん

2021年11月10日
 「敷居の高くない、県民にとって利用しやすい裁判所でありたい」。政府が導入を検討する民事訴訟のIT化には、「バランス感覚が重要」と慎重姿勢を保ちつつ、「裁判の迅速化につながる」と前向きだ。司法界にも迫るデジタルトランスフォーメーション(DX)による合理化を追い風に親しみやすい裁判所を目指す。出身は京都府だが、宮崎市は親の転勤で小学4年から中学卒業まで過ごした思い出の地。「温かな人や土地柄は変わらない」とほほ笑む。

 東京地裁を振り出しに鹿児島県や大阪府、青森県など各地で勤務した。主に民事を担当し、調停を含めたさまざまな事件で原告、被告双方の言葉に耳を傾けるよう努めてきた。「当事者の本当に言いたいこと、背後にある思いこそが大切」と語る。

 民間企業に勤めた父親に「勢いのある業種は時代によって変わるが、法律の世界の需要は変わらない」と背中を押され、司法の道を選んだ。「物事の理解が早い方ではなく慎重な性格」と自己分析する。だからこそ人一倍準備を怠らず、「判断のタイミングが遅くならないよう常に意識している」という。座右の銘は「無為自然」。何事にも自然体で臨むことを大切にしながら、人事を尽くす毎日だ。

 中学時代、通学で使った列車は、新婚旅行ブームのおかげでグリーン車が普通料金だったといい、「それ以来『乗り鉄』です」と笑う。コロナ禍が収束し、自由に鉄路を楽しめる日を心待ちにしている。宮崎市に単身赴任。休日はリモート飲み会で旧交を温める。東京大法学部卒。60歳。

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