父の浩史さん(59)が4月にJA児湯組合長に就任したため、和牛の繁殖、肥育一貫経営「壱岐ファーム」社長に就任。社長として初めて迎えた第63回県畜産共進会枝肉の部に出品した「激熱(げきあつ)833」が全100頭の頂点に立った。「この農場で生まれ、ずっと世話してきた。肉付きが良かったので自信があった」と受賞を喜ぶ。 新富町出身で、幼い頃から牛舎で餌やりや堆肥出しを手伝い、牛に親しんできた。佐土原高に進学して工業系の進路を模索した時期もあったが、両親が肥育に加えて繁殖も始めたことで改めて畜産に興味を持つように。県農業大学校(高鍋町)を経て2008年に同JAに就職。家畜人工授精師として多くの和牛農家を訪れることで経営の知識も学んだ。 そんな中、10年に口蹄疫が流行し、各地の農場で殺処分に追われた。終息後は同JAの別部署に配属されたが「畜産に関わりたい」という思いが強まり、退職して翌11年に実家で就農した。 両親から学んだ飼育方法や血統の組み合わせなどを熟慮し、現在は繁殖、肥育で計670頭を自身と母を含めた6人体制で世話する。昨年、従業員を2人増員し、「病気の早期発見や栄養摂取状況の管理などを徹底できた」と、周囲の支えに感謝する。今後は繁殖牛をさらに増やし、他から肥育牛を導入しなくても成り立つ完全な一貫経営を目指す。 趣味はゴルフや魚釣り。繁殖農家仲間と一緒に楽しむが、「そういう時も牛の話が多くなる」とほほえむ。妻と子ども3人の5人暮らし。35歳。