お盆のお供え物の一つ、精霊馬と精霊牛。一般的にはキュウリとナスを使って作られるが、家になかったことから、義母の機転でバナナを使って作った、笑いあふれるエピソードで特選に輝いた。「受賞は涙が出るほど驚いた。今後も家族や友人などへの感謝の気持ち、宝物にしたいエピソードをつづりたい」と力を込める。
元々文章を書くのは苦手。幼い長男が道端に咲くヒメジョオンを両手いっぱいに抱えて持ち帰ってきた思い出など、どうしても残しておきたいことは書くようにしている。読んだ人がくすっと笑ったり、ほっとしたりするように投稿前には何度も読み返す。
これまでデイサービスで看護師として働いてきた時の笑い話など数多く投稿してきたが、4年前に夫・正さん=享年55歳=を亡くしてからしばらくは心にぽっかり穴が開き、ペンを握ることすらできず、大好きだった仕事も辞した。しかし、同じように若くして夫を亡くした義母の励ましや、4人の息子たち、友人らの支えがあり、再び「茶の間」に投稿を再開するようになったと、振り返る。
「笑う瞬間は幸せを感じたとき。書きたいと思うのはそんなときのこと。冗談を言って笑い合えるような日常を取り戻せたのは家族や仲間のおかげ」と、感謝は尽きない。
受賞により次回作を書くことへのプレッシャーはあるものの、「孫たちの愛らしいエピソードなどネタはある。掲載副賞の図書カードを孫への絵本代にするためにも頑張ります」と笑顔を見せる。西都市平郡。58歳。