2017年に前監督からバトンタッチされ、5度目の挑戦で優勝旗を手にした。「感無量。選手だけでなく、スタッフも含め、一丸でつかんだ」と喜びをかみしめた。
高原町出身で、約120頭の乳牛を養う酪農家。学生時代は陸上と縁遠く、中学卒業後、家業を手伝い始めた。駅伝との出会いは20歳の頃。地元青年団の活動がきっかけで走り始め、「地道に練習を重ねれば少しずつ速くなる」とのめりこみ、南九州駅伝などに出場した。
自身の経験から、子どもたちを指導する上で心掛けるのは「こつこつやることと、楽しく走ること」。今大会4区を走った吉永恵俐奈選手(広原小)は「試合前に緊張していたら、冗談を言って和らげてくれる。面白い監督」と慕う。
ただ監督就任後は、1年目の準優勝を最後に表彰台からも遠ざかり「苦しかった」という。夕方の練習会に欠かさず顔を出し、農作業が残っていたら帰宅後に”残業”。王座奪還へ心血を注いだ。
昨夏からは小林高で3年連続全国高校駅伝を走った山村凱斗さん(高原町臨時職員)にコーチを頼み、スピード強化に力を入れた。本番では序盤の遅れを全員で追い上げて優勝を勝ち取り、「厳しいかなと思ったが、選手たちが自分の予想を超える走りをしてくれた」と目を細める。
趣味は「牛を見ること」で「牛も選手も目を見たら調子が分かる」と笑う。酪農を通じた仲間が全国にいるといい、「コロナが収束したら北海道に行きたいね」。同町広原に家族5人で暮らす。65歳。