日本を舞台にしたタイのテレビドラマ「きもの秘伝」主題歌の歌詞を担当する。同国の英雄的な歌手、俳優のバード・トンチャイさんが主演する一大エンターテインメントのスタッフに大抜てき。「奇跡のような出来事」と喜びを隠せない。
延岡市出身で、バンド「15JAM(イチゴジャム)」として2003年にCDデビュー。「音楽活動でタイを訪れた際に、困難を明るさに変える人々の生き方に魅力を感じた」と、11年に拠点をバンコク市へ移した。「宮崎とタイの橋渡しを」と模索を続け、大役をつかんだ。
現地での生活は言葉の壁を克服することからスタート。大学で猛勉強を続け、読み書きや会話に困らなくなった。その間もイベント、CM出演などキャリアを重ねるうちに、同ドラマの関係者と知り合い、作詞への挑戦を打診された。
ドラマは伝説の未完成の着物をめぐり二つの名家が対立する、ロミオとジュリエットなどの要素を織り交ぜた「現代版ラブファンタジー」。佐賀県など九州ロケをすでに終え、今冬放映される。
頼まれた歌詞は日本語のサビだけだったが「起承転結をしっかり描きたい」と、タイ語と日本語を織り交ぜた全編を完成させた。出来栄えが評価され、別の作詞家に決まっていた仕事を「大逆転」でものにした。
昨年11月に延岡観光大使に委嘱され、1月には県人会inタイも発足させた。「チキン南蛮や太陽のタマゴ、地鶏のおいしさを伝えたい。宮崎へ行ってみたいと思えるような活動ができれば」と夢を膨らませる。(文化部・徳留亜弥)