2021年産米の食味ランキングで、えびの市など霧島地区の「ヒノヒカリ」が3年連続で最高評価「特A」を獲得。「農家や行政、JAなど関係者が一丸となり積み重ねてきた努力が実った」。吉報に目尻が下がる。
豊かな湧き水や肥沃(ひよく)な土壌。自然環境にも恵まれた同市は、県内有数の米どころだ。JAえびの市稲作振興会は05年、えびの米のブランド化を目指そうと設立された。3代目会長として10年目を迎え、733戸の農家を束ねる。
13年には特A獲得に向けたプロジェクト会議が発足。田植えや収穫の時期、栽培管理や乾燥方法にこだわり、15年に悲願だった県産米初の特Aに輝いた。
さらに、民間の食味コンテスト「お米番付」では同市産のヒノヒカリが全国で唯一、13年の開始当初から8回連続で入賞。「年々『えびの米』の知名度は上がり、引き合いも強まってきた」と、手応えを感じている。
「特A獲得は農家の意識向上にもつながる。今後も連続獲得へ頑張りたい」と”お墨付き”にも満足せず、さらにおいしい米づくりを追求する考えだ。
確かな品質のヒノヒカリも、暑さに弱いという課題がある。「稲作は気象条件に大きく左右される。温暖化が進む中、産地を次世代につないでいくため、ヒノヒカリをベースに、新たな品種の導入も検討していきたい」と力を込める。
県の協会長も務めるグラウンドゴルフが趣味で、「地元の温泉に入るのも好き」。だがやはり、「一番は仕事よ」。同市浦で妻と暮らす。83歳。