優勝決定直後のミーティング。大会中止が相次ぐなど、コロナ禍に翻弄(ほんろう)されながらも努力を続け、結果を残した選手を見て、涙があふれた。「よく頑張った」。震える声で優しくねぎらった。
保護者は「熱い人」と口をそろえる。20年前から宮崎市でバーを経営しており、睡眠2、3時間で練習や試合に参加することも。「選手は自分の子どもと思っている。少しずつ上手になるのがうれしいし、勝ったときの笑顔を見ると元気が出る」とやりがいを語る。
西都市出身。美術部だった妻中3年のとき、「花園」県予選決勝をテレビで見て、チームメートのために体を張る姿に感動した。日章学園高でラグビー部に入り、3年時は主将を務めた。「きつい分、仲間との絆は深まった。フォア・ザ・チームの精神を学べた」
長男・直弥さん(25)が6歳でラグビーを始め、指導者になった。このチームで初めて5・6年を受け持った2013年は経験者が少なかった。「どうにか勝たせたい」と土曜を新たに自由参加の練習日に設定。厳しい指導で能力を伸ばし、この年の宮日杯を制した。
「やらされる練習では、指導者が変わったときに戸惑う。自ら考えてプレーできる選手を育てたい」。改善点や練習メニューをメンバーに考えさせる指導に重きを置くようになった。「中学、高校でも伸び伸びとプレーしてほしい。ラグビーを通じ、人を思いやれる人間になってくれれば」と強調する。趣味は1年前に始めたゴルフ。「100を切れない」と苦笑い。同市吉村町に一人暮らし。48歳。