自らも選挙に無関心だったからこそ、同じような若者に語り掛けるように言葉を紡いだ。「大切だと気付くきっかけさえあれば、意識は変えられる」。政治や選挙をテーマに若者が発表する「第16回わけもんの主張」(書面審査)で、その率直な思いが評価され、最優秀賞に選ばれた。
宮崎大卒業後、都城市内の会社に就職。「学生時代の友人、同僚との間で選挙や政治が話題に上ることもなく、知識も乏しくて投票を辞退したほうがいいと思っていた」。その後、故郷である三股町の役場に再就職。入庁2年目、昨年10月31日に投開票された衆院選が転機となった。
総務課情報政策係に在籍し、期日前から役場とのネットワークシステムの動作確認のため各投票所を巡った。そこで目にしたのが、投票時間前から会場入り口に並ぶ人たち、子どもをあやしながら投票するお母さんの姿だった。一票に懸ける意識の高さに触れ、「適当な言い訳をつけて関心を示さなかった愚かさに気付かされた」。
そんな折、「わけもんの主張」への応募を町選管職員から打診された。海外の事例を調べ、棄権者に罰金を科して投票を強いる国の存在も知った。「投票までの過程が重要。自らの意思で投票することに意味がある」と考え、投票率8割を超えるスウェーデンの主権者教育を原稿に盛り込んだ。受賞を機に膨らんだ思いは、「子どもたちが暮らしやすい、働きやすい社会へ、未来を決める限られた機会が選挙だ」。
好きな一人旅の再開が待ち遠しい。都城市で1人暮らし。29歳。