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研究グループでサンゴの新種を発表した 宮崎大農学部教授 深見裕伸(ふかみ・ひろのぶ)さん

2022年3月27日
 海を美しく彩り、生態系を支えるサンゴの分類学を研究している世界でも数少ない研究者だ。日南市南郷町の大島周辺の海域で見つかった新種「コノハナウミアザミ」を2月、研究グループの一員として発表した。

 大島や延岡市島浦島など本県沿岸がサンゴの宝庫であることはまだまだ知られていないと指摘。「サンゴは観光だけでなく、生物多様性、水産業にとっても重要。沖縄に行かなくても、身近にサンゴを観察できる宮崎の海の良さを伝えたい」

 和歌山市出身。釣り好きな父の影響で海は幼い頃からの遊び場だった。サンゴに興味を持ったのは東京水産大在学中、シュノーケリングサークルに入ったのがきっかけ。「最初は魚を追い掛けたけど逃げ足が速くて、捕れる生き物に意識が向いた」と笑う。

 「一見同じようで一つ一つ違うサンゴの形の面白さ」に魅了され研究者の道に進んで30年弱。この間、パナマのスミソニアン熱帯研究所などを経て、2010年から宮崎大に勤務。国内だけでなく世界各地の海に潜り、採集したサンゴの形態の違いや遺伝子の分析を地道に重ねた。

 「しんどいときもあるが、論文など成果物を出すことで新しい発見を後世に残せる。どんな狭い範囲でも長く続けて突き詰めれば生き残れる」と研究の醍醐味(だいごみ)を語る。

 趣味はおいしいお酒を飲むことで、休日はあえて大好きな海と距離を置く。本県の温暖な気候、緩やかな時間の流れがすっかり気に入り「居心地が良すぎて、今後も動かないと思う」。宮崎市在住。49歳。

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