41年の警察官人生の半分近くを刑事として歩んできた。400人を超す刑事部門のトップに就き、「県民の安全安心な暮らしを守るため、事件の検挙に全力で取り組みたい」。言葉の端々に強い正義感と決意がにじむ。
デジタル化が進み、科学捜査が進展しても最終的に事件を解決するのは人だと信じる。だからこそ捜査員には「刑事魂」を持ち続けてほしいと望む。被害者に代わり悪を討つ強い意志、困難な事件も必ず解決する信念、被害者や家族に寄り添う思いやり―。「この積み重ねが県民の期待と信頼に応えることにつながっていく」
刑事ドラマに登場する「正義を貫き、弱者を助ける」刑事に憧れ、小林高卒業後の1981(昭和56)年に県警に入った。2006年の捜査2課理事官時代は、元知事の逮捕に発展した県官製談合・贈収賄事件を担当。ゆがめられた政治の不正に切り込んだ。
殺人や強盗、ひき逃げなど、これまで向き合った事件は数多い。「今も被害者の涙が目に焼き付いている」。事件の大小に関係なく、被害者の無念を晴らしたいとの一心で仕事に当たってきた。
高千穂、延岡署長時代には住民とともに地域防犯活動に奔走した。「警察だけで治安を維持できる訳ではない。県民の協力が不可欠」。今後も行政機関や住民との連携を強めていく考えだ。
不摂生を改めようと12年前に始めたマラソンは3時間20分台。毎日ジョギングを欠かさず「足を痛めて病院通い」と苦笑いを浮かべる。宮崎市に妻と娘と暮らす。59歳。
【写真】県警刑事部長になった時任和博さん(警視正)=6日午後、県警本部