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本県で唯一、警察功労賞を受賞した都城署留置管理課警部補 楢木博巳(ならき・ひろみ)さん

2022年4月15日
 「被害に遭われた方の無念を思い、被疑者検挙に力を注いだ」。警察官人生の半分以上の23年間にわたり、刑事部門に携わってきた。中でも殺人や傷害、放火など「強行犯」を扱う1課で多くの事件解決に貢献。今年の全国優秀警察職員で表彰され「先輩、後輩、同僚はもちろん、家族にも恵まれ支えてもらったおかげ」と、周囲への感謝の言葉が先立つ。

 小林市出身。大学卒業後、1989年に拝命。初任地の日南署で交番勤務を経験し、94年に刑事課に配属。以来、県警本部、宮崎北、宮崎南、都城、小林、高岡署で事件と向き合った。手がけた事案について「まだ生々しさがある」と多くは語らず、関係者を気遣う。

 常に被害者に寄り添う気持ちを忘れない。アパート1階に暮らしていた30代前半の時、額から血を流した男性がベランダから助けを求めてきた。非番で在宅しており幼いわが子もいた。「職務中なら何ともないが、正直言って怖いと感じた。一般人の気持ちが分かった」。ほとんどの人は犯罪と無関係。不幸にも巻き込まれ被害に遭った人たちを守ろうという気持ちは、一層強くなった。

 駆け出しの頃、自分が拾ったネタで先輩が証拠を固め検挙につなげる姿に、「捜査はチームワーク」と実感。若手にも連携の大切さを説き「誇りと使命感を持て」と、自らの経験を伝えてきた。留置管理課でも、犯罪者心理を読む刑事の視点からも後進を指導する。

 趣味は最近始めた船釣り。「タイを上げたいがまだまだ」と笑う。宮崎市の自宅から通勤する。56歳。

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