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宮崎地方気象台長に就任した 上出一美(かみで・かずみ)さん

2022年5月1日
 南海トラフ巨大地震や霧島連山・新燃岳の噴火などへの警戒が強まる中、防災・減災の要となる宮崎地方気象台のトップに就いた。「災害は起きるもの。万一のときに県民の命が守られるように、正確かつ迅速な情報発信に努めていきたい」と決意を新たにする。

 北海道別海町出身。氷点下20度を下回ることもある極寒の町で、夜空の観察に熱中するなど豊かな自然と接していくうちに気象分野への興味が膨らんだ。

 1991年に気象大学校に入学、95年から水戸地方気象台や東京管区気象台などに勤務し、前任は気象庁技術開発推進室長。多くの経験を積んだ同庁勤務では、全国約1300カ所の地域気象観測システム(アメダス)の運用・管理のほか、気象衛星ひまわりの観測計画の立案などを担った。

 印象深いのは2018年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震。最大震度7を観測した地震で発電所が被災して電力供給が停止し、アメダスによる気象データの収集が数日間できなかった。「災害は一度起きるとその後も影響が続く」。教訓を生かし、非常用バッテリー増強を全国で推し進めた。

 本県はこれから梅雨や台風シーズンを迎え、土砂災害や水害などのリスクが高まる。「気象台の情報を正しく理解し、行動することが命を守ることにつながる。イベントや出前講座などを通して、情報の意味を周知していきたい」

 休日には「良い気分転換になる」と散歩を欠かさない。妻と次男を千葉県に残し、宮崎市内に単身赴任。49歳。

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