県警初の女性警視の1人として小林署副署長に就任し、1カ月余り。「他の警察官と同じように、上司に引っ張ってもらい、部下に背中を押してもらって、ここまでやってこられた。職務を全うすることで、その恩を返したい」。重責への覚悟をにじませる言葉に、「女性だから」という意識はなく、真っすぐな人柄が浮かぶ。
大学卒業後の1993年に拝命。地域課を皮切りに生活安全課、刑事課、警務課、情報管理課、通信指令課、交通指導課など、さまざまな職場で経験を積んだ。
今よりずっと女性警察官が少ない時代、事件の被害者が女性の場合、事情聴取を任された。つらい思いをした被害者から、思い出したくない出来事を聴く-。聴取が犯人逮捕のために必要であることを丁寧に説明し、被害者の不安を和らげ、信頼関係を築くことを心がけた。
副署長は、署長の方針に沿って担当課に捜査や取り締まりを指示したり、各課の連携を調整したりする重要な役職。赴任に当たり、冷静な目と聞く耳を持つことを肝に銘じた。「署長と署員それぞれが言いたいこと、言いにくいことをくみ取って、お互いに伝えることで、署の運営を円滑にしていきたい」
小林署勤務は2回目。新しくできた店や建物などからまちの発展を感じつつ、食べ物や水のおいしさ、そして人の温かさは変わっていないと懐かしんでいる。「せっかくの西諸勤務。暇を見付け、管内の温泉を巡れたら」と表情を緩めた。宮崎市に夫を残し、小林市に単身赴任。51歳。