福岡を相手にした決勝戦。優勝まであと1勝の場面で、中堅が一瞬の隙を狙って「突き」を決めた。積み重ねてきた努力が実り、喜びと同時に主将としてのプレッシャーが解けた安心感もこみ上げた。
九州管区内の8県警が出場し、6月に開催された剣道大会。6人の選手を率い、本県を3年ぶりの優勝へと導いた。
剣道を始めたのは5歳の時。警察官だった父親の影響だった。大学卒業後も剣道と向き合い続けたいと警察官の道へ。父親への憧れも背中を押した。
拝命後は機動隊に所属。機動隊は大規模災害や治安警備に当たるため、特殊な訓練を受ける。「訓練の合間に稽古を重ねることになるため、苦しい道になることは覚悟していた」といい、「体力を大きく消耗する訓練も多いが、長年の稽古で身につけた精神力が生きている」と胸を張る。
大会に向けてチームの弱点である打突力不足の克服と雰囲気づくりに重きを置いた。一日に数百本の素振りを課し、平日はさまざまな試合状況を想定した練習を繰り返した。ミーティングを重ね、コミュニケーションを大切にした。「付いてきてくれたチームメートには感謝しかない。結果につながった」
宮崎市出身。同市内で妻と長女(6)、長男(4)の4人暮らし。訓練と稽古に打ち込む日々の息抜きは休日に家族と過ごすこと。子どもの成長を見守ることが楽しみだ。「父親として目標に向かい、努力を続ける姿を見せたい」と笑みをこぼした。33歳。