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県芸術文化協会会長に就いた 岩切天掃(いわきり・てんそう)さん

2022年7月18日
 本県書道界をリードする作家の一人として公募展などの場で長年活躍してきた。42の団体が加盟する県芸術文化協会のトップという立場になり「書の世界でもそうだが、芸術文化活動で最も大事なのは、自由の精神。各会員や各組織の自発的、自立的な活動をサポートしていきたい」と抱負を語る。

 同協会はみやざき文学賞、県民芸術祭の開催など、さまざまな事業を手がける。中でも力を注ぎたいのが各種助成事業で「何かを『やろう』という意欲はあっても、申請方法が分からないなどの理由で足踏みする個人や団体も少なくない」。利用促進へ向け、相談しやすい雰囲気づくりや、協賛企業の掘り起こしなどに努めたい考えだ。

 日展会友、宮日美展無鑑査となるなど県内で指折りの実績を持つが、遅咲きだった。小学生の頃から大人と間違われるほど達筆だったが、身が入らなかった。転機は早稲田大の学生時代に1カ月間、入院したこと。隣のベッドにいた患者が作った短歌を読ませてもらい、その深い精神性に感動。同じ芸術である書と再び向き合い始めた。

 宮崎市の日向学院高で世界史を教える傍ら独学していたが、古典に学ぶ必要性を痛感。30代に入って初めて師の指導を仰いだ。曲折を経た表現者は「いくら科学技術が発達しても、芸術は人間にしかできない根源的なものとして残っていく」との思いを深める。

 本紙で東日本大震災後の2011、12年に連載したシリーズ「気仙沼よ」など多くの題字を担当している。同市在住。74歳。

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