「この感謝状が、県警の嘱託警察犬に関わる人たちにとって喜びになるとうれしい」。1980(昭和55)年、日本警察犬協会の地区審査員に登録。40年以上、県警の嘱託警察犬の審査などに尽力してきた。本県で審査員に、九州管区警察局長から感謝状が贈られたのは初めて。
福岡県生まれ。父が動物好きで馬や犬、ニワトリに囲まれた環境で育った。30代前半で憧れだったボクサー犬を飼い始め、自身で繁殖を始めるほど犬に夢中になった。審査員の門をたたいたのは、大手飼料メーカーの転勤で本県に来た30代半ばの頃。「もっと犬に関わる活動がしたい」と考えていた際、仲間からの誘いを受けた。県外の競技会などに足を運んで勉強するうち、優秀な警察犬を見いだす役割にやりがいを感じ、活動にのめり込んだ。「犬の長所と短所を見極めてあげることが大切」と心得を説く。
現在では全国で3人しかいない同協会の名誉審査員を務める。県警の嘱託警察犬の審査会を長年見続け、「暴走する犬が減るなど、訓練する指導士のレベルが上がっているのが分かる」とうれしそうに語る。一方で、審査員の後継者不足に気をもんでおり、「若い世代を確保するには日当や報酬の改善が必要」と指摘した上で、「本気で頑張ろうという人には、これまでの経験を惜しみなく伝えたい」と力を込める。
自宅で飼う愛犬のミニチュアダックスフントと過ごすのが何よりの楽しみ。「犬を中心に生きてきた。理解してくれた妻には頭が上がらない」と笑う。宮崎市島之内で妻と長男と暮らす。85歳。