「勝負にはこだわらず、気持ち良くプレーできた結果」。楽観的と自己分析する50歳が、3度目の挑戦にして「宮日旗」初優勝。「個人タイトルとは縁遠い人生だった。過去の経験が生きたかな」と喜びに浸った。
都城市出身。会社勤めの傍ら、20歳で本格的にゴルフを始めた。自己流で練習を重ね、数年後に初めて70台を出すと一気に火がついた。30歳でプロを志し、家族の大反対を押し切り関西へ。年齢的に遅いと感じつつ「上のレベルにどんな人がいるのか、違う世界を見たかった」。
ゴルフ場で働きながらプロテストに挑むも壁は高く、1打及ばず涙をのんだことも。次第に焦燥感に駆られ、心から楽しめない自分がいた。40歳代前半で、母イツさんの病気を機に帰郷。完全に一線を引くつもりで約1年半クラブを握らなかったが「自分を形成してきたライフワークのようなもの。心の奥底ではまたやりたかった」。再びコースに出るようになった。
ラウンド中は、出来の善しあしに限らず表情に出さない。「怒ると荒れる」。プロを目指す中、自然と身に付いたことを実践する。優勝を決めた最終日は1番でイーグルを決めた後も淡々とプレー。雷雨による中断にも動じなかった。
関西時代の仲間とは今も交流が続き「競技を通じて知り合えた人が宝」と感謝する。イツさんは5年前に他界。都城市の自宅で同居する父茂さん(83)に優勝を報告し「両親には心配をかけてばかりだった。まさかゴルフで喜ばせられる日が来るとは」としみじみ語った。