43年間勤めた農協(JA)を退職し、小林市副市長に就任した。誰もが認める農業のプロから市ナンバー2への転身。就任の打診を受け「そんな器じゃない」といったんは保留したが、「小林の主たる産業である農業の再生に力を貸してほしい」との肥後正弘市長の熱意に打たれ、決心した。
旧小林商業高を卒業後、1971(昭和46)年に小林市農協入り。西諸地区4農協の合併後、JAこばやしでは参事や常務理事を歴任した。農業現場に精通し、幅広い人脈が強み。「農業者の声をしっかり施策に反映し、市長に提言したい」と意気込む。
特に、来年度の一部通水を目指す西諸地区畑地かんがい事業への思い入れが深い。「雨に左右されない、かんがい施設を利用した農業へ転換を図ることで、単収の増加や品質の安定が見込まれ、農家の所得が上がる。そうすれば税収も増える」と滑らかな口調で語る。
農業分野以外では市の人口減少を喫緊の課題ととらえる。「若者を引き寄せるまちづくり、子育てしながら働ける環境づくりに取り組みたい」 行政未経験への不安もあるというが「市役所職員はそれぞれの分野のプロ。その職員たちをいかにテーブルの上で踊らせるかが重要。コミュニケーションは大丈夫」と人心掌握に自信を示す。
趣味は川釣り。「人と会うことは必ずプラスになる」と酒席を大事にする。同市真方の自宅に妻、母と3人暮らし。62歳。
(小林支局・岩切康一朗)