「受賞を機にあらためて新聞配達が好きになり、いい仕事をしていると自信を持てた」。力強いまなざしでやりがいを語る。「新聞配達に関するエッセーコンテスト」での受賞作品には、配達先に「いつも配達ごくろうさまです、よいお年を」と書かれた紙が置かれてあり感動した体験や、「毎日僕の配達を待ってる人がいる。毎日頑張ってることを認めてくれる人がいる」という思いをつづった。
宮崎東高(宮崎市)の通信制課程で学ぶ17歳。小学3年生から精神面の不調で不登校が続き、中学時代は一時、児童精神科に入院した。現在は回復し、1年ほど前から体力づくりも兼ねて配達を始めた。母潤子さん(55)は「仕事で心身ともにたくましくなった」と目を細める。午後6時に就寝し、深夜2時に販売所に通う日々。本人は「皆が寝ている時間に動くが、流れ星をたくさん見られて得した気分」と笑みを浮かべる。
普段から文章を書くこと好きで、SNSなどを活用しているが、コンテストへの出品は初めて。今回は1時間ほどで書き上げた。配達を始めてそれまで以上に新聞を読むようになり、SDGs(持続可能な開発目標)や地域面に掲載される話題などに目が行くようになったという。「新聞の可能性を感じる。仕事をもっと覚え、いずれ販売所を経営してみたい」と意気込む。
仕事終わりにカフェでコーヒーを飲むひとときが一番のリラックス。配達の給料で買った一眼レフカメラを持って出かける時間も大切にする。宮崎市在住。