「県民の生命と健康を守ることが県医師会の責務。各方面からの意見に耳を傾け、地域医療の発展に取り組みたい」。ゆっくりと落ち着いた口調で、会長就任の意気込みを語る。
地域医療の崩壊、医師と医療機関の偏在、医師の高齢化など本県の医療を取り巻く課題は山積している。全ての課題に医師不足が関係しており、本県で働く医師を一人でも増やすのが最重要課題だと捉えている。
県医師会ではこれまで東京や大阪などで説明会を開き、研修医の確保に努めてきた。これに加えて本年度は首都圏や福岡で活躍する本県出身医師を集めた交流会を開催する予定。「県医師会とのつながりを持つことで、将来の選択肢に本県で働くことを入れてもらいたい」と狙いを明かす。
今後は県や大学と連携し、若い医師が集まる体制整備に力を入れる。
西都市出身。世のためになる仕事をしたいと、鹿児島大医学部に入学。同大学で外科を専攻し、29歳の時に西米良村立病院(現西米良診療所)へ数カ月間派遣された経験を持つ。住民との距離が近く「地域医療の原点を実感した」と振り返る。
翌年、宮崎医科大(現宮崎大医学部)付属病院の整形外科に入局。36歳の時に宮崎市島之内に診療所を開設した。限られた診療時間内に患者の訴えを全て聞くのは難しい。だからこそ、診察時間以外でも患者を見掛けたら会話をするように心掛けている。
同市島之内の自宅で、妻の久美子さん(64)と2人暮らし。休日は3人の孫と遊ぶのが何よりの楽しみ。69歳。
(報道部・竹村麻実)