「相手を外国人ではなく、一人の人間として捉え、その考えや価値観を認め合えるようになったとき共生社会への扉は開かれます。対話は国境をなくす魔法なのです」
国連などをテーマに日南市であった小村寿太郎侯顕彰弁論大会でこう訴え、最優秀賞を受賞した。指導教諭の助言の通り、審査員一人一人の目を見ながら話すと「驚くほど緊張しなかった」という。
主張は自身の経験が基になっている。昨年、模擬国連大会に参加したが、ペアを組んだのは「最もなりたくないと思っていた」モンゴルの男子高校生。発表では外見から来る偏見があったことも明かした。しかし、実際に話すうち、この生徒の言葉に幾度も励まされた。オンラインを通じて3カ月間、「イタリアの貧困」について共に研究し、同国の学生に給食を無償提供することで勉強に集中してもらい貧困解消につなげる解決策を提示した。この生徒とは対話を通じて「パートナー」になった。
今月24日、東京で開かれる「国際理解・国際協力のための高校生の主張コンクール中央大会」に本県代表として出場。制限時間内にいかに抑揚をつけて訴えたいことを際立たせるか、練習を重ねる。
高鍋高探究科学科3年の18歳。中学までは話したり、伝えたりするのは苦手だったが、「探究活動を通してここまで成長できた」。米ディズニーのドラマや映画が好きで、大の英語好きに。同校では英語や英語圏の文化に親しむ「ESS部」に所属。志望大学で教育学を学びたいと、早朝から机に向かう。