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「第6回みやにち 俵万智短歌賞」の最高賞に輝いた 門田祥子(かどた・しょうこ)さん

2022年10月26日
 「あこがれの俵万智さんの名前を冠した賞。本当に私が?」。前回までの「みやにち 俵万智短歌賞」で優秀賞2回の実力者。それでも最高賞だと知った時は、信じられない気持ちになったという。「これからも短歌を続けていく力になる」と喜ぶ。

 受賞作は〈自転車に初めて乗れた日の顔で子は内定の報告をする〉。教員採用試験に合格し、笑顔を浮かべる長女(23)の姿が、補助輪なしで自転車に乗れるようになった時と重なった。「目の前の風景と思い出のかけらがつながった」。子どもが成長して親の手を離れていく、うれしくも寂しい気持ちを三十一文字に込めた。

 美郷町南郷の出身。高校生の頃、小遣いで初めて買った本が俵さんの大ベストセラー「サラダ記念日」だった。それまで難しいと思い込んでいた短歌が身近に感じられ、言葉への興味を深めるきっかけに。大学で国文学を学び、古典を読みあさった。

 「表現する側になるつもりは全くなかった」が、夫の「読むばかりではなくアウトプットもした方がいい」との勧めもあり、7年前から宮日文芸に投稿。「おかげで身の回りに丁寧に目を向けるようになった」。めきめきと腕を上げ、2017年度の歌壇賞を受けた。今や日記代わりに歌を詠む。「短い文章の中に、その時の自分の気持ちを保存しておけるのが魅力」と創作を楽しんでいる。

 「活字全般が大好き」と語る読書家。新富町図書館に通い詰め、常に読みかけの本を複数冊、手元に置いておく。同町在住、50歳。

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