「少子化が進み、地方の小規模大学には厳しい時代。だからこそ社会に受け入れられるため、『実学』を柱にした人材育成を大切にしたい」。9月1日に学長に就任した。「『食・緑・人』を専門とする特徴的な3学部の専門性、応用的な研究を充実させていく」と語る。食料安全保障や環境問題、保育の人材確保など社会のニーズに応えるための責任を果たしていく覚悟だ。
名古屋市出身。名古屋大を卒業し同大学大学院農学研究科で博士号を取得。研究員を経て1999年、南九州大の講師になった。専門は食品学で米アレルギーの原因成分であるタンパク質の特定や食物アレルギーをいかに抑えるかなどを研究。「弱い立場から物事を考える」。教え子たちにも贈ってきた言葉を教育・研究の信条にする。
副学長や食品開発科学科長として、年々注目が高まる食の安全性に力を注いできた。2021年に完全義務化された食品衛生に関する国際基準「HACCP(ハサップ)」について、学生と教員が県内企業の導入支援をするなど、地域貢献にもつながる実践的な教育に取り組む。
コロナ禍で実習などに制限を受けた時期もあったが、現在は以前と変わらないカリキュラムを組めている。「社会に出る前の学びのチャンス。積極的にさまざまな経験を積んでほしい」と学生にエールを送る。
自宅近くの海岸沿いにあるサイクリングロードを自転車で走り、海を見る時間が心身を癒やすひととき。宮崎市島之内に妻と高校3年生の長男と3人暮らし。54歳。