「うれしくて、ゴールの瞬間は言葉が出なかった。全員が最後までよく頑張った」。トップを切ってゴールに飛び込む後輩ランナーの姿に目を細めた。
2大会連続で主将を務めた今大会は、大学生に一般区間を譲り、サポート役に徹した。「楽しんでいこう」。昨年12月のチーム結成から一人一人に声をかけてコミュニケーションをとり、小学生から社会人までのチームをまとめ上げた。
広島市出身の26歳。熊本大大学院修了後、就職を機に都城市に移住した。中学で始めた陸上競技は社会人となった今も続け、県内大会では専門の3000メートル障害で優勝するなど高い実力の持ち主。川内聖一監督からは「実績は十分。それよりもコミュニケーション能力が高く、短期間でチームを成長させるのは1人しかいない」と評価を受け、10区に起用された前回大会は第1回以来の2位に導いた。
「陸上には良い思い出も悪い思い出もある。どちらも一生忘れることはない」と振り返る。中学で好成績を残し、広島県の実力校・広島国際学院高に進学。活躍が期待されたが、「走るたびにタイムが落ちた」。3年間、駅伝メンバーに選ばれず、高校総体などの大会にも出場できない挫折を経験した。
山あり谷ありの競技人生を送ってきたからこそ、子どもたちに託す思いは強い。「大会を通じて陸上を好きになって、古里のために走った経験を将来に生かしてほしい」
霧島酒造(都城市)に勤務し、大学時代に知り合った木城町出身の妻光(ひかる)さん(32)と同市で暮らす。