日南市瀬貝2丁目で鋼材卸などを手がける家業の佐藤鋼材を2018年夏、26歳で引き継いだ。県事業承継・引継ぎ支援センターなどのサポートを受け、斜陽化していく自社事業を改めて直視。3代目社長として多くの気付きを得て溶接・加工、移動販売車の製造・販売など多角化につなげた。同時に後継者難などで事業承継が進まず、苦悩を深める経営者が少なくないことも知った。
「専門家による『外部の視点』を入れることで強みができ、自信を持てた。この経験を一人でも多くの人に還元できたら」。兵庫県立大大学院卒業前に経営コンサルタントに憧れていた頃の思いも再燃。「2年計画で合格する」と21年春に一念発起し、その言葉通り目標を完遂した。
本年度の試験合格率は5・4%。日中は本業に全力を傾け、毎日早朝と夜に計3時間、机に向かった。「そのときどきで一喜一憂せず、歯磨きのように勉強を習慣化した」。スマートフォンで記録した総計時間は1189時間に及んだ。
事業承継が社会問題化する中、中小企業診断士である前に、一人の経営者であることが何よりの説得力になると考える。「当事者にしか分からない痛みや苦労を日々肌で感じるからこそ、伝えられる言葉がある。同じ目線の伴走支援を心がけたい」
フットサルのミストラル宮崎の選手兼監督。「戦術戦略を明快に仲間に伝え、モチベーションを高めるのは経営、中小企業診断士の仕事にも通じる」。大学、大学院では生命理学を専攻、再生医療につながる基礎研究に没頭した。31歳。