南海トラフ巨大地震の発生が懸念される中、若い世代の減災に対する意識を高めようと県が本年度、県内の高校生を対象に初めて募集した「防災小説コンテスト」で最優秀賞に輝いた。学校の課題として取り組み、小説を書いたのは初めて。「自分が選ばれるとは」と驚きを隠さない。
受賞作は、宮崎市・佐土原高までバスで通学する主人公が、下校中のバス車内で地震に遭う設定。通信環境が悪く家族と連絡が取れず焦る中、SNS上の自分のアイコンを、無事を伝える文字に替え、事なきを得る物語に仕上げた。臨場感に加え、「高校生ならではの視点で被災時に取るべき行動が示された」と高評価を得た。 これまで、巨大地震の発生を自分事として考えたことはなかった。家族も友達もいない状況で被災したらどうするか―。5歳離れた姉の助言も参考に、苦戦しながら800字程度にまとめた。小説は啓発のために県防災庁舎に掲示されるほか、県のホームページ上で公開される予定。来年度には映像化される見通しで、「後輩たちがリアルに地震を感じる参考になれば」と話す。
受賞を聞いた姉は「『さすが自慢の弟やね』と、めちゃくちゃ喜んでくれた」と照れ笑い。賞品の図書券3万円は「経営や投資など、将来に役立ちそうな本を買うつもり」。ただ、最近はまっているサッカー漫画にも「ちょっとだけ使いたい」と明かす。
同高の情報技術科1年。コンピューターのプログラムを学びながら、所属する情報技術部ではホームページや動画の制作に励む。16歳。