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自衛隊宮崎地方協力本部長に着任した 黒子一也(くろこ・かずや)さん

2023年3月19日
 小さな頃から「機械」が好き。自動車のエンジンや差動装置の図解が載った乗り物図鑑をすり切れるほど読み込んだ。その中でも夢中になったのが高度な技術が詰まった飛行機だ。パイロットに憧れ、防衛大学校の門をくぐった。

 防衛大では「航空」を専攻。充実した学生生活を送った。しかし卒業後に転機が訪れる。自衛隊の幹部候補生学校で受けた操縦士検査で基準を満たせず、夢を絶たれた。

 辞めるか、続けるか。悩んだその時に浮かんだのは、防衛大で苦楽を分かち合った同期たちのことだった。「仲間と一緒に働きたい」。大好きな戦闘機とも働ける自衛隊の航空機整備の道を選んだ。

 2011年、茨城県・百里基地に勤務し、全国唯一の偵察航空隊で偵察整備隊長を務めた。東日本大震災では被災地の情報収集のため、部隊派遣の要求が雪崩のように押し寄せた。連日、不眠不休で機材整備に当たる部下の隊員たちの姿に胸が熱くなったのを今もはっきりと覚えている。

 2月1日付で前職の新田原基地第5航空団副司令から現職に着任。自衛官募集をはじめ広報活動、災害派遣での自治体との窓口業務を担う。「宮崎は神話が息づき、自然や食が豊かで人が温かい。協力本部は自衛隊と地域をつなぐ懸け橋。しっかりと良好な関係を築いていきたい」

 埼玉県の自宅に家族を残し、宮崎市内に単身赴任。趣味はプラモデル製作。作品は「戦闘機が多い」と照れ笑いを浮かべる。「夢は『究極の機械』である宇宙船の模型を作ること」。1等空佐。52歳。

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