16歳という史上最年少で全日本アマチュア将棋名人戦県大会を制し、県名人に就いた。決勝で破った赤崎公亮五段は、普段から指導を受ける兄貴分的存在。勝因には「きわどい展開で、赤崎さんのミスに助けられた」と謙遜する。
就学前に「父か祖父」から将棋のルールを教わった。本格的に始めたのは小学2年生。「強くなりたい」と自宅近くの道場の門をたたいた。めきめき頭角を現し、4年生で宮日王位戦の決勝トーナメントに出場。「倉敷王将戦」など全国大会にも多数出場し、経験を積んできた。
昨年8月からは、県内若手有志が集う研究会にも参加。初めは県名人の赤崎五段に負かされ続けていたものの、最近の勝敗はほぼ五分五分だった。実は大会前日の19日にはファストフード店で赤崎五段と“前哨戦”をし、2勝を挙げた。「この1年で本当に強くなった」という周囲の評価は確かだ。
得意戦法は定跡が整っていて、日ごろの研究量が物を言う「角換わり」。序盤は重厚に指し回し、終盤には正確な読みから鋭い手を次々と繰り出す。一方で、中盤のねじり合いが弱いと指摘を受けており、「読みの力を鍛え、アマチュアのトップが集う全国大会に向けて調子を上げたい」と気を引き締める。
普段は詰め将棋の本を解いて勉強しており、将棋で負けが続いたときのストレス発散法は、詰め将棋を作ること。「いつか専門誌の詰め将棋に応募して賞を取りたい」と話す。宮崎市の実家で両親と2人の弟と5人暮らし。
(文化部・成田和実)