女性の活躍促進が国の成長戦略に位置づけられ、農業分野でも期待が集まる中、日本能率協会(東京)が開講した「女性農業次世代リーダー育成塾」のメンバー20人に本県からただ一人選ばれた。座学や販売研修などを通して農産品のブランディングや販路開拓を学ぶ。「経営力など自分に足りないものをつかみたい」と意気込む。
小林市堤のハウス14アールで夫の道博さん(36)とミニトマトを作る。2人とも都内でシステムエンジニアとして働いていたが、田舎暮らしと農業への憧れから8年前に夫の古里である同市に移住。高鍋町の県立農業大学校などで2年間実習し、2008年に就農した。
トマトは通常、青い状態で出荷し流通過程で熟させるが、実がなったまま完熟させる樹上完熟を徹底。収穫後すぐに市内のスーパーや直売所に並べるため、新鮮で甘く、高値で取引される。
店頭のPOP広告には「完熟ミニトマトはリコピンが豊富」「炒め物や味噌汁にもおいしい」などと書き、主婦の視点で消費者にPR。特技の料理を生かし、規格外品を使ったドライミニトマトなど加工品作りにも挑戦する。今後、自宅近くに加工場を建設し、販売する計画だ。「女性ならではのアイデアやきめ細やかさを発揮したい」 8月に定植し、収穫は10月から翌年6月までと長丁場。「農業は重労働だが、『小川さんちのトマトはおいしい』と喜んでくれる人がいるだけで疲れが取れる」とにっこり笑う。東京出身の44歳。同市堤に夫の両親と4人暮らし。
(小林支局・岩切康一朗)