民生委員となり36年。この間、宮崎市橘地区の民生委員児童委員協議会(民事協)会長を15年間務め、長年の活動と社会貢献が評価され、全国民生委員児童委員連合会会長表彰の「永年勤続単位民生委員児童委員協議会会長表彰」を受賞した。「家族や仲間の支えや協力があったから」と感謝する。
「常に相手の立場に立ち対応する」をモットーに、地域の見守りなどでほぼ毎日活動。コロナ禍以降は地域住民の家を直接訪ねることが難しくなるなど苦労もあるが、1人暮らしの高齢者やひとり親家庭、不登校の子どもなど孤立しがちな人々の声に耳を傾け、行政などとの橋渡し役を担う。
父貞見さんも、30年間民生委員を務めた。「父の姿をずっと見ていて、大変だが人のためになる活動だと分かった」。貞見さんが亡くなり、39歳で後を引き継いだ。現在、同連合会の筆頭副会長や県民事協会長、宮崎福祉会理事長など約60の役職を務める。
一方で、民生委員のなり手不足や高齢化に強い危機感を抱く。国は年齢要件を「75歳未満」とするが、自身も含め県内の75歳以上は多い。1~2期目で辞める人は少なくなく、欠員が出たままの地区もある。「さまざまな問題を解決するためには委員間の連携が欠かせないが、入れ替わりが多いと難しい」と課題の解消策を模索している。
「相談相手の困りごとが解決し、喜ぶ姿を見るのが何よりうれしい」とやりがいを語り、孫らの成長を励みに、健康でいる間は一意専心で続けるつもりだ。長男に経営を引き継いだ市内のビジネスホテルで妻と2人暮らし。76歳。