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第32回石井十次賞をアフターケア事業部が受賞した大阪児童福祉事業協会理事長 伊山喜二(いやま・よしじ)さん

2023年4月15日
 「児童養護施設に携わっている者にとって石井十次先生は先駆け。受賞は光栄に思う」。岡山孤児院を創設し「児童福祉の父」とされる石井十次(1865~1914年)の精神を受け継ぎ、児童福祉分野で功績のあった個人や法人をたたえる石井十次賞を贈られ、喜びを語った。

 受賞したのは理事長を務める社会福祉法人大阪児童福祉事業協会のアフターケア事業部(大阪市)。設立された1964(昭和39)年当時は高度経済成長期。施設で中学を卒業し、社会に出た子どもたちを支えた。現在は施設を離れた若者らの相談に応じ、施設や里親の下で暮らす生徒らが社会生活をする上で必要な知識やマナーなどを学ぶソーシャル・スキル・トレーニングを実施。賛同する団体や企業は増え、国事業のモデルになった。

 贈呈式出席のため、初めて石井十次の出身地・高鍋町を訪れ、木城町の記念館を見学。感銘を受け「石井十次先生とそれを応援した人たちのことを伝えていかないといけない」との思いを強くした。

 大阪府柏原市出身。家は寺で、住職の祖父が25(大正14)年に境内に非行少年を預かる施設を設け、後に児童養護施設に転換。幼いころから施設の子どもたちと暮らし、自身も福祉の道に進んだ。

 2002年から4代目の園長となり、施設を出た若者らが壁に直面しながら、大人になる姿を見てきた。「成人式、結婚、子どもができたと、人生の節目に施設や事業部にあいさつに来てもらうのが私たちの一番のご褒美で喜び」。同市で妻と2人暮らし。72歳。

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