「ほっとしているのと、うれしさと、あとは身の引き締まる思いです」。自身、監督として2度目の優勝には、さまざまな感情が胸に去来した。
昨夏の県予選は準決勝で延岡学園に敗れた。「隙がなくしつこかった。ここ数年の延学で一番強いと感じた」。その延岡学園が、県勢初となる全国準優勝を果たした。「勝ち上がっていくことは刺激になったし、自分たちはどうすればいいのか、自問自答し勉強した」。過去、春夏通算10度甲子園に出場している県内強豪私学として「次は自分たちが」という思いで練習を積み重ねてきた。
串間市出身。1995年、日南学園の主将として春夏連続甲子園出場。明大を卒業し2000年に母校のコーチ、07年12月に監督に就任した。現部員数は94人と県内最多を誇るが、選手には頭ごなしでなく納得するよう理論的に説明。選手時代に同学年だった渕上和也コーチ(37)も「一つ一つの事を堅実に積み重ねてチームをつくり上げる」と評する。
帽子の裏には昨夏ごろに書いたという「必ず日本一にする」。以前は「自分が日本一になりたい」と思っていたが「年齢を重ねるごとに、選手のいいところを引き出したいと思うようになった」。
同校社会科教諭。日南市内に妻と4人の娘と暮らす36歳。子どもの運動会や発表会には行けないが「監督として自分が頑張っている姿を見せ、自慢できる父親でありたい」。
試合後、選手から胴上げされ3度宙を舞い「落とされなくてよかった」。ようやく表情が緩んだ。(運動部・高橋正一郎)