「性教育への理解がまだ高いとはいえない中、認めてもらえたことは、今後の弾みになる」と前を見据える。昨年度の厚生労働省「健康寿命をのばそうアワード(母子保健分野)」で、中高生への性教育に取り組む宮崎大医学部看護学科が、厚生労働大臣最優秀賞に輝いた。20年を超すその活動を当初から先頭に立ち担ってきた。
同科が行う「ピアカウンセリング講座」は増加する、若者の人工妊娠中絶への対策として県から依頼を受け2001年にスタート。「ピア」とは仲間、同僚を意味し、大学生が講師となり身近な世代の中高生と性の悩みを共に考え、正しい知識を伝えていることが高く評価された。
これまで21年間に県内150校で実施。「性を考えると相手を尊重することの大切さも学ぶ。講座を受けた生徒が看護学科に入学し、自分も講師をしたいと言ってくれることもあり、うれしい」。山口県上関町の離島で生まれた。島で唯一の看護師だった、母の働く姿を見て「自分も人の世話をする仕事がしたい」と看護の道を志した。宮崎市は夫の生まれ故郷。当時の宮崎医科大に看護学科が設立された01年の3年前に千葉県から移住し設立準備にも携わった。
「地域の健康を守るため、おせっかいをする」と、運動器の働きが落ちる「ロコモティブ症候群」予防への取り組みや、スポーツ大会などで応急処置を担う健康スポーツナースの育成にも力を注ぐ。自身はコロナ禍でなまった体を立て直すため、半年前からホットヨガで汗を流している。宮崎市で夫と暮らす。61歳。