警察官人生は刑事として殺人や強盗などの凶悪事件を扱う捜査1課畑を長く歩んできた。「被害者の思いをくみ取り、捜査するのが刑事。県民が安全で安心に暮らせるよう犯罪捜査を尽くしたい」。刑事部門のトップに就き、強い覚悟をにじませる。
1982(昭和57)年、県警入り。国富町と西都市で起きた連続強盗殺人(2001年)や宮崎市家族3人殺害(10年)、宮崎市食堂店主殺害(17年)など多くの悲惨な事件捜査に携わった。「被害者の無念を晴らすため、真実にたどり着く」の一心で容疑者逮捕につなげてきた。
近年はインターネットや交流サイト(SNS)の活用で犯罪も大きく変わってきた。SNSを介し強盗や特殊詐欺の実行犯を募る「闇バイト」も社会問題化。「昔ながらのやり方だけでは通用しない」。社会情勢の変化に合わせ捜査手法も変わりつつある。
一方で変わらないものも。「何としても容疑者を割り出すという、刑事の信念」だ。現場の聞き込みなど基礎捜査を粘り強く積み重ねる執念を若手刑事は持ち続けてほしいと話す。
職員への訓示では「人生に偶然は一つもない」との自身の座右の銘を伝えた。「嫌な仕事をしたり、望まない部署で働いたりしないといけない時もある。でもそれらの経験は後になって必要だったと思う時が来る」
最近は時間がとれず趣味の登山から遠ざかり「登山靴とザックが泣いている」と苦笑い。宮崎市で妻と娘、トイプードルの「空」君と暮らす。日向市出身の59歳。