本格的に油絵を学び始めてわずか2年。二度目の挑戦で「みやにち夢ひろがる小品展」の最高賞に輝いた。結果発表当日は、新聞記事を読んでも信じられず、中学生の次男と確認してようやく実感。「描きたかったのは生活の中にある美しさ。制作には苦労したが、認められてうれしい」と顔をほころばせた。
受賞作の油彩「繋ぐ」は散歩中に見つけたタンポポが題材。枯れた大地にしっかり根を張って咲く一方、花に交じった綿毛は今にも風に崩れそうで、はかなさも同居する作品だ。細部まで緻密に描き上げ、立体的な実在感やバランスの妙が目を引きつける。
足元のタンポポから感じ、表現したかったのは「『生き抜くぞ』という力強さや生と死」。命について考えることが増えたコロナ禍でなければ「モチーフにしなかったかもしれない」と振り返る。
宮崎市出身。幼少期から絵を描くことが好きで、県外の短大で産業デザインを学んだ。結婚後は3人の子育てに追われる日々だったが、三男の就学をきっかけに「油絵には絵の基本が詰まっている。しっかり学び直したい」と一念発起。パン作り教室講師やボランティアにも取り組む傍ら、絵画教室に毎週通い、一日の家事を終えて寝るまでの2~3時間を創作に当てている。
現在は全国公募展に出品する100号の大作に挑戦中。「油絵は画家の数だけ技法がある。まだまだ知らないことだらけだが、その奥深さが楽しい。1日24時間では全然足りない」と目を輝かせた。同市で夫と次男、三男と暮らす。46歳。