福岡市で7月にあった九州管区内警察剣道大会の鹿児島との決勝で、2勝3敗と後がない状況で出番が回ってきた。「副将として、何としてでも主将につなげたかった」。勝利への執念が一本勝ちを引き寄せ、2連覇への流れをつくった。
延岡市出身。剣道場で稽古を付けていた祖父の影響で、6歳から剣道を始めた。警察官を志したのは小学生の時。剣道日本代表に北海道警の警察官が選ばれ、国際大会に出場する様子に密着したドキュメンタリー番組に影響を受けた。
2010年に県警入りすると、警備部機動隊に配属された。土砂災害の現場で、被害者を救助した経験がある一方で、一歩間に合わずに、命を落としていた場面に遭遇したこともあった。
いち早く被害者を救出するため、日々の訓練の大切さを改めて認識。災害現場での活動を想定した訓練は、体力の消費も大きいが、「剣道で培った体力と精神力で、県民の生命、財産を守る使命を全うしたい」と語る。
緊張しやすい性格だが、今大会では「チームの雰囲気が良く、互いに声をかけ合うことで下を向くことはなくなった」と振り返る。
試合前には、練習内容や教訓を記した「剣道ノート」を常に見返している。「頭が整理されて緊張せず、試合に集中できる」と精神面の強さも今大会での活躍につながった。
宮崎市に妻と長男(4)、次男(1)の4人で暮らす。休日に子どもと公園で遊ぶのが楽しみという。「息子たちが剣道をしてみたいと思ってもらえたら」とひそかに願う。31歳。