第34回宮日杯吟詠コンクール大会で、歴代大会の最高得点者のみが競う「最優秀吟士の部」の頂点に立った。県外出場者としては2人目となる宮日最高吟士の栄誉に、「レベルが高い宮崎の中でも、宮日杯は出場者が多い。そこで勝てたことは自信になる」と喜ぶ。
漢詩に節をつけ、情感込めて謡う詩吟との出合いは、結婚した1991年。妻和代さん(54)の両親が教室を開いていたのがきっかけだった。当初は和代さんが出場する大会について行って写真を撮る役回りだったが、歴史的な英雄や美しい情景を詠んだ漢詩の世界に徐々にのめり込んだ。
もともと歴史好きで、今大会で吟じた「両英雄」も江戸城無血開城を実現させた西郷隆盛と勝海舟の会談を題材にしたもの。「地元鹿児島の英雄を詠んだ詩なので、気持ちがこもった」。1年間にわたって練習に取り組む一方、西郷隆盛ゆかりの史跡を行脚。審査員らは「詩の世界を見事に表現した」と評した。
21歳と17歳の娘2人も幼い頃からたしなみ、全国大会で優勝したこともある。一方、全国的に詩吟を習う子どもは減少。義父母から受け継いだ教室も子どもの姿が減っている。「詩吟は作法や歴史、年配者との接し方を学べる貴重な場。興味を持ってもらえるよう、いい吟を聞かせることがわれわれの使命」と語る。
自宅での練習は毎日欠かさない。「風呂場は絶好の練習場」。カラオケ好きで、夫婦だけで5、6時間歌うことも珍しくない。鹿児島県伊佐市で妻、次女と暮らす。薬局経営。56歳。
(報道部・海老原斉)