「先輩たちが築いた実績を検証し進化させて、次世代の人にとってより良い歯科医師会にすることが役割」。会員約550人の周囲にはスタッフや家族ら多くの人が携わる。その思いも背負う覚悟を持ち、重責にやりがいを感じている。
県民に伝えたいのは歯の健康寿命の延長。食べることはもちろん、話すこと、笑うこと―。生きていく上で歯は大きな役割を持つ。業界が進める「8020運動」(自分の歯を80歳で20本保つ)を最低目標にしてほしいとの願いがある。そのためにかかりつけ歯科医をつくること、そして「痛くなる前に診察」が大切だと訴える。
課題もある。歯科医、歯科衛生士などスタッフ不足はこの業界も例外ではない。特に地方部にいくほど深刻という。「この仕事のやりがい、素晴らしさをどう伝えるか」。先頭に立って考えていく構えだ。
小学校低学年の時に虫歯ゼロで表彰されたことがうれしくて、歯医者に興味を持った。好奇心を膨らませ、都城泉ケ丘高から福岡の歯科大に進学。都城市の歯科医院勤務を経て、1987(昭和62)年、三股町蓼池に現在のうえくぼ歯科医院を開業した。
地域に根差し約35年。子ども時代からの患者もたくさんいる。「地域にいてくれて良かった」と住民から感謝されたときが何よりもうれしい。
父の背中を見て育った長男の祐基さん(34)も歯科医として同医院に勤務。なるべく口出しせず「いろいろ挑戦してほしい」と見守る。趣味はテニス。医院近くに父、妻、次男と4人暮らし。66歳。