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都城市出身の陸上自衛隊第8師団長 青木伸一(あおき・しんいち)さん

2023年9月29日
 10人が命を落とした、4月に沖縄県で起きた陸上自衛隊ヘリコプター事故。突然の訃報に同月、第11旅団長から本県、熊本、鹿児島の3県を軸に国防を担う陸自第8師団のトップになった。就任会見で「体制を立て直したい」。指揮官を失い、重い雰囲気の組織を元に戻すことが早急な責務だった。

 国防を取り巻く環境は厳しい。国土の周囲には侵攻を止めないロシアをはじめ、北朝鮮、中国の存在があり、南九州を管轄する第8師団が背負う役割は大きい。「戦後安保は最も厳しく、錬成で対処力を付け、抑止機能を発揮しなければならない」と力を込める。

 災害も年々激甚化する。特に南九州は南海トラフ巨大地震の恐れがあり、国民の期待に応えるため「自治体や関係機関と顔の見える関係が大切」と気を引き締める。1989年の入隊以来、第1空(くう)挺(てい)団や水陸機動団など第一線の現場を歩んできた。厳しい訓練も「陸自は人の組織。素晴らしい先輩後輩に恵まれた」と感謝を口にする。部下には統率方針である挑戦を促す。新しいこと、難しいことに立ち向かい、常に高みを目指してほしいとの思いがある。

 都城市出身。18年間暮らし、都城駐屯地近くの都城西高に通っていた。数々の思い出があり、霧島連山の風景を見ると涙が出るような気持ちにかられる。今も母や知人がおり「古里を守ることが愛国心の原動力になっている」と笑う。

 休日はドライブがてらに地域を巡ることが趣味という。東京都に妻、娘を残し、熊本市に単身赴任。57歳。

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