第43回宮日杯吟詠コンクールで、歴代最高得点者で競う「最優秀吟士の部」で頂点に立った。「ご指導していただいている中武玲星(れいせい)先生を始め、応援してくれたすべての方々に感謝したい」と笑みがこぼれる。
選んだ吟題は、明の詩人高啓の「胡隠君(こいんくん)を尋ぬ」。川を渡り、花を眺め、春風が吹く道を歩くうち、いつの間にか友人の家に着いてしまったという内容の歌。ゆっくりとした時間の流れる情景を思い浮かべ、伸びやかに気持ちを込めて吟じた。
高校卒業後、幼稚園や保育所へ絵本や遊具などを販売するセールスの仕事に従事した。30代となり、姉の影響で詩吟を始めたが、仕事が忙しくなり、一時離れることに。しかし、約20年前、師事していた故坂本徹星さんから「もう一度やってみないか」と誘われ、のめり込んだ。現在も週3回、教室に通いながら約2時間練習に励み、自宅での発声練習は毎日欠かさない。
2014年、最優秀宮日吟士に選出され、宮日最高吟士まであと一歩のところまできた。ところが、若く、声量豊かな吟士が次々と現れ、先に最高吟士に上り詰めていった。年齢のこともあり「今回が最後」と臨んだだけに喜びもひとしお。ただ「坂本先生がご健在の内に最高吟士の姿を見せたかった」と正直な気持ちも打ち明ける。
ボウリングやパークゴルフで健康維持に努め、最近では、中学3年生の孫が誘ってくれる川釣りが楽しみ。歌うことが大好きで、「次は県内の民謡全国大会で上位を狙う」と意欲を燃やす。宮崎市村角町で妻や娘家族と5人暮らし。81歳。