野球人生の原点となったチームの監督1年目。年の離れた「後輩」を率い、34年ぶりの頂点に導いた。「小学生時代にお世話になった奥保雄監督(故人)に続けたのが、何よりうれしい」。保護者らに5度胴上げをされ、初の県ナンバーワンとなった選手に負けない笑顔を見せた。
前回優勝した1989年の翌年、小学3年時に入団。遊撃手としてプレーしたが、宮日旗県大会には出場できなかった。その後も白球を追い、都城高3年の99年夏に甲子園へ。3番打者として通算10打数5安打の成績を残し、センバツ王者を破っての16強入りに貢献。「目標に向かってチームが一つになっていった」経験が、今大会リードされても諦めずに頂点に立った選手たちの姿と重なって見えたという。
卒業後は野球から離れたが、今回主将を務めた長男・史都君(12)がプレーすることからグランドに復帰。2年間コーチを務め、今年1月監督に就いた。指導に当たっては子どもの自主性を重んじる一方、かつて恩師に教えられたように「あいさつや道具を大切にすることを口酸っぱく言ってきた」と強調。試合中は選手が自ら考えることを重視し、冗談などで緊張を解くことに専念。「なんだかんだで、自分があまりサインを出さない時の方が勝っている」
モットーは「何事も楽しむ」。自身が現役時代に守備が苦手だったことから「一生懸命さが伝わればエラーにも寛容」と笑う。ユニホームを脱げば約160頭の牛を育てる肥育農家。都城市横市町で妻、1男2女と5人暮らし。42歳。