第60期以来遠のいていたアマ宮崎本因坊の座を、5期ぶりに奪還した。今期の本因坊決定戦は第1局を落とすも、第2、3局と連勝。2連戦を制し「ホッとしたけど、脳が筋肉痛になったみたい」と疲れを隠さず笑う。
5期連続の顔合わせとなった奈須春樹名誉本因坊を「形勢を判断する能力が非常に高い」と高く評する。県トップレベルの棋力を持つタイトル保持者を前にしても「『是が非でも勝ちたい』という気持ちはなく、ただ楽しんで打てればいい」と自然体で挑んだ。
中学2年生で初めて同棋戦本戦に出場し、宮崎医科大(現宮崎大)2年生の時に初の本因坊位に就いた。外科医として勤務し始めてからも出場を続け、急な手術などで不戦敗となった数回を除いて毎回出場。コロナ禍では全国につながる棋戦の県予選は見送ったが、アマ宮崎本因坊戦は「特別な棋戦」との思いで出場を続けた。
本県の囲碁界を長くけん引する中で、最近の若手の台頭には「目を見張るものがある」。中でも、今期の挑戦者決定トーナメント準決勝で対戦した鳥越瑛太七段格=三股町・三股中1年=と、初の8強入りを決めた岩切知輝五段=都城市・祝吉小4年=は、全国大会で上位に食い込める棋力を持つ。それだけに「いつかは追い越されるだろうが、伸び盛りの彼らにとって良い『壁』でありたい」と温かく成長を見守る。
囲碁仲間に誘われて5年ほど前に登山を始め、今年9月に剱岳(富山県)に登頂し「還暦前に実現できてよかった」。宮崎市江南で妻と2人暮らし。60歳。