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みやざき大使に委嘱された国学院大教授 上野誠(うえの・まこと)さん

2023年12月19日
 生まれ育った福岡、学問を深めた東京と奈良に次いで本県は「僕の第四の古里」。神話のふるさと県民大学の講師や「みやざきの神楽魅力発信委員会」委員などを務め、約10年にわたり本県の神話や神楽の魅力を県内外で発信し続けて「ようやくみやざき大使になれた」と笑う。

 研究者仲間である県立看護大(宮崎市)の大館真晴教授に声をかけられ、経営者向けに講演をしたのが本県と関わるきっかけ。県内各地で講演をする中で、戦後の学校教育でタブー視されていた神話への人々の抵抗感が薄れつつあるのを肌で感じている。県主催の出前授業「記紀みらい塾」で、地名と古事記などに記された伝承との関わりを話すと、子どもたちは目を輝かせる。「地名はその地に刻まれた歴史。古里への誇りを持つきっかけになれば」と願う。

 神話とも関わりが深い万葉集と人々の暮らしとの関連をひもとく「万葉文化論」が専門。俳人の母をはじめ短歌や俳句をたしなむ人が多い環境で育ち、太古の時代への関心が芽生えた。歴史クラブに所属していた中学生の頃は発掘調査を見学するなど、考古学に熱中。土器の復元作業中に内側に残された手形を発見したこともあり、そっと手を重ねて「『2千年前の人も同じ人間なんだ』と感慨深かった」と振り返る。

 「研究者人生は後半戦に入ったが、まだまだやりたいことがある」。神武東征の出発地となったように、本県が苦難の旅の出発地として選ばれた意味や古代日本においての役割を考えていくつもりだ。奈良市在住。63歳。

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