執筆した1本の論文が今年10月、英国の海洋生物学の専門誌に掲載された。宮崎市の大淀川河口近くで2016年に釣り上げられたサメについて画像を基に調査したところ、世界三大危険ザメの一種「オオメジロザメ」と確認されたというもの。琉球列島だった西太平洋の生息地の北限を更新する発見となった。国外ではかみつかれて多数の人が死傷しているため、「本県の海や川に生息している可能性があることを頭の片隅に入れてほしい」と注意を促す。
宮崎市出身で宮崎第一高校から宮崎大農学部海洋生物環境学科に進み、現在、同大学大学院・農学工学総合研究科博士後期課程3年生。延岡フィールドを拠点に「県内の海水、汽水、淡水に生息するすべての魚を採集・記録する」ことに情熱を燃やす。仲間とともに採集するだけでなく、情報収集にも余念がない。漁師や釣り愛好家と積極的にコミュニケーションを図り、SNS上の情報も熱心にチェック。オオメジロザメも、釣り愛好家が数年前にSNSに上げた画像を発見したのがきっかけだった。
「小学生のころから毎日のように網とバケツを手に自宅近くの大淀川に通っていた」という根っからの魚好き。日々の研究にも魚への愛があふれていて、採集した個体を美しく生き生きと撮影・記録する技術は同僚も舌を巻くほど。来年度は大好きな宮崎の海と川を離れ、神奈川県の日本さかな専門学校で講師を務める予定。将来は帰郷し、「県内に生息するすべての魚と出会えるような水族館を作りたい」と夢を抱く。門川町在住、27歳。