コロナ禍を乗り越え昨年、「おかげ祭り」(都城市)の4年ぶりの通常開催を実現に導いた。地域再生大賞の特別賞に輝き、「長年続けてきたことが間違いでないと確信できた」と喜ぶ。
2021年の会長就任は突然の出来事だった。初代会長の川本翰治(かんじ)さん(77)=現おかげ祭り保存会理事長=の体調不良もあり、庶務委員長など長年裏方を経験し、祭りを熟知する中堅に白羽の矢が立った。「段取りなどは詳しくなっていたが、本番で(花形の)御輿(みこし)を担いだことは一度もない」と笑う。
コロナ禍での就任で、祭りは規模縮小や形態変更を余儀なくされた。だが、決して祭りの火を消してはならない―。実施を模索し、「勢力」を温存させるのにも裏方の経験が生きた。
「会長だから付いていく」など、血気盛んな若手も信頼を寄せるリーダーシップは、水泳で培った。幼少期のおとなしかった性格は泳ぎを始めて変わり、大学卒業後は九州大手スイミングスクールに入社。強い組織のつくり方を学び、実家経営のスイミングスクール「フィットピア」(同市)を25歳で継いだ。地域の信頼も厚く、務める役職は県中小企業家同友会や都城観光協会の理事など数多く、忙しい毎日が続く。
楽しそうに焼酎を飲む様子が霧島酒造(都城市)のテレビCMで流れ、「毎晩飲んでいる様に言われるが、あながち間違いでもない」と酒宴が息抜きの一つ。同市志比田町で妻と2人暮らし、息子2人はドイツと熊本市在住。都城市出身。51歳。