「私が親の立場になったら、子どもを連れて選挙に行きたい。そんな光景が、もっと当たり前になったらいい」。県内の若者が選挙や政治への意見を発表する「第18回わけもんの主張」でただ一人手元に原稿を用意せず、会場の一人一人の目を見ながら、真っすぐに訴えた。
熊本県菊池市出身。同県内の金融機関に就職した後、結婚を前に妻の出身地である延岡市に移り住んだ。以前から公務員を志していたことや、古里の豊かな自然環境に近いことから日之影町役場に入庁し、2年目。「わけもんの主張」への出場を上司から打診され、「人前で発表することで自分を成長させられる」と挑戦を決めた。
発表では、投票率の高い高齢者向けの政策に偏る「シルバーデモクラシー」の現状を指摘。「未来を担う若者のための政策を実現させるには、投票を通じて若者の存在を意識させることが一番」と主張した。投票率アップの方策として、小学校への主権者教育導入などにより子どもの頃から政治参加や意思決定を習慣化するなど、「未来の有権者を育てる」ことを提案した。
背景には実体験がある。町職員として選挙事務に従事していると、投票所に小さな子どもの手を引いて訪れる両親や、親子3世代で来る家族が多く、「すごくいいな」と感じていた。思い返すと、自身も祖父母や母に連れられ投票所に通った。その経験があったから、大学時代から投票を続けてきたといい、「次も必ず行く」と確信する。
学生時代は陸上に打ち込み、今もランニングで気分転換する。28歳。