「肩肘張らず、細く長くやってきた。評価される日が来るとは思いもしなかった」。内戦の混乱が残るカンボジアの復興を支援しようと、ボランティア団体「地雷ゼロ宮崎」を設立したのは2001年。活動を継続してきた実績が認められ、西日本シティ財団(旧西日本国際財団、福岡市)のアジア貢献賞を先月受賞した。
宮崎市を拠点に講演会や募金活動、農産物の販売などを展開。得た資金は地雷除去や被害者支援に当たる現地の団体、孤児院などに提供している。11年の東日本大震災やコロナ禍では「できる範囲のことをやろう」と原点を見失わず、活動縮小の危機を乗り越えた。
カンボジアは1979(昭和54)年にポル・ポト政権が崩壊後、内戦で長く負の歴史をたどったが、「知っていたのは国名くらい」という無縁の国だった。転機は、地雷や貧困問題に取り組むNPO法人テラ・ルネッサンス創設者、鬼丸昌也さんとの出会い。地雷問題や貧富格差、教育問題といった実情を知ると、それが日本の豊かさとの対比に映った。支援の必要性を痛感、同じ思いを抱く仲間が集まった。
当初は県内の大学生を現地に派遣し、自身も地雷除去作業を目の当たりにした。「人が犠牲になる音」と聞かされた爆音は今も耳に残る。そんな経験を積んだ当時大学生の1人は現在、同法人の現地スタッフとして活躍している。
神奈川県出身の58歳。29歳で脱サラ、整体師の資格を取得後、母の郷里・西都市に両親と移住し、妻と暮らす。宮崎市で整体院を営む。