発表テーマの根底にあるのは、心肺蘇生法に関する認知度の低さ。救急要請を受け現場に向かっている際、心臓が止まっている可能性がある緊迫した場面に出くわすことも。通報者や周囲に「『心臓マッサージはできますか』と尋ねると、『分からない』と返ってくることが多々ある」。日頃から考えるものがあった。
11日に日南市で開かれた県消防職員意見発表会。「待っているだけじゃ、助けられない命」と題し、「学校の授業で普通救命講習の必修化」を提案。内容の充実度と堂々とした発表ぶりで、各地区11人の中から最優秀賞に輝いた。「平常心で臨めたが、まさか自分が選ばれるとは思ってもなかった」
同市消防本部に所属する3年目の消防士。発表では前職の小学校教員の経験も踏まえた上で、小学3、4年で「AED(自動体外式除細動器)の扱い方」、5、6年で「胸骨圧迫のやり方」など、発達段階に応じた取り組みを提言。小学校からの学習を通じて「大人になる頃には、目の前で人が倒れていても、救急隊に引き継がれるまでの救命処置ができるようになる」と訴えた。
本県代表として、大分県別府市で26日に開かれる九州地区大会に出場する。気負いは一切なく「発表は頑張るが、九州各地のいろんな意見を聞いて吸収したい。今後の消防士人生に生かし、それを地域に還元できれば」と先を見据える。
趣味は始めたばかりのゴルフと、スポーツジムで泳ぐこと。日南市南郷町に父、母、弟と暮らす。25歳。