「県警本部と警察署が一体となって事件解決に取り組むことが大事」。犯罪捜査を指揮する県警の刑事部門トップに就任した。近年はSNSを使った「闇バイト」や特殊詐欺、ネットバンキングによる不正送金など犯罪の手口が多様化。「部署の垣根を越えて対応しないといけない」。柔和な顔を引き締める。
チームプレーだという仕事で心がけるのは「知恵を出し合うこと」。上の立場から仕事や考えを押し付けるのではなく、対話を重ねることで最適解を引き出すことが大事だと考える。
職員への訓示でも、若手、ベテランを問わず遠慮なく意見を出すよう呼びかけた。部長室のドアも開けっ放しにし、部下が少しでも気軽に話をできるよう配慮する。「優秀な職員がそろっているので十分に力を発揮できるような環境をつくっていきたい」
警備や生活安全、組織犯罪対策など幅広い分野を歩んだ。ある部下は「いろんな部門の経験が豊かで、部下の能力を引き出してくれる」と、仕事ぶりを評する。人柄についても「明るく温厚な人」と信頼も厚い。
最近の若手には刑事が「きつい仕事」とのイメージもある。「刑事警察を目指したいと思える雰囲気をつくっていきたい」と話し、「大変な仕事ではあるが一つ一つ解決していくことで自分の成長にもつながる」と魅力を話す。
えびの市出身で、宮崎市内に妻と暮らす。「孫が遊びに来るのが楽しみ」と言い、趣味のゴルフはしばらくお預けになりそうだ。59歳。