年始から地震が頻発し、南海トラフ巨大地震への関心も高まる中、防災・減災の鍵を握る宮崎地方気象台トップに就任した。「精度の高い観測の維持はもちろん、気象に関する情報発信と啓発が重要」と強調する。観測データを基に出す警報なども「理解してもらえなければ意味のない情報になり、県民が不利益を被る」からだ。
大分県別府市出身で気象大学校(千葉県)卒業後、1990年に気象庁へ。福岡航空測候所や札幌管区気象台などで勤務。前職の地震火山観測企画調整官を含め約30年間、地震・津波を専門にしてきた。
2011年の新燃岳噴火では、気象庁火山監視・情報センターの技術専門官として現地入りし、毎日のように車で現場を巡回。鹿児島県の栗野岳に地震計などを設置し、新たな観測点として稼働させた。
また元日の能登半島地震では、同半島の北約50キロ沖の舳倉(へぐら)島までヘリで向かい、観測点の確認などに尽力。「安定した観測は、最前線で救助などに当たる人の命に関わる」と責任を痛感する。
梅雨や台風など出水期を控え、県内でも線状降水帯の発生など水害リスクが高まる。「コロナ禍で行動制限を受ける側になり、正しく伝える難しさを再認識した。”慣れ”につながらない正確な情報発信と受け手側の理解促進は大きな課題」と力説する。
幼少期に訪れた青島や「こどものくに」を「懐かしい」と思い出す。数十年ぶりに再訪し、変化を楽しむつもりだ。宮崎市の官舎で1人暮らし。56歳。